不動産を直接貸している所有者様へ 賃貸借契約、そのままで大丈夫ですか?
不動産を自分で管理し、借主と直接賃貸借契約を結んでいる所有者様は少なくありません。
「昔から同じ方に貸している」
「親から引き継いだ物件を、そのまま貸している」
「知人や取引先に直接貸している」
「管理会社に頼むほどの規模ではない」
こうしたケースでは、特に問題が起きていなければ、契約内容を何年も見直さないままになりがちです。

しかし、賃貸借は10年、20年と続くこともある長期の契約です。
その間に、貸主や借主の状況、建物の状態、法律や契約実務が変わることもあります。
今回は、住宅・店舗・事務所などを直接貸している方、これから貸そうとしている方に向けて、賃貸借契約で一度確認しておきたいポイントをご紹介します。
「契約書があるから大丈夫」とは限りません
賃貸借契約書は、単に賃料と契約期間を書いておくための書類ではありません。
修繕が必要になったとき、借主が退去するとき、契約を更新するとき、設備が壊れたとき、使い方を変更したいと言われたときなど、何かが起きた際の判断基準になります。
特に自主管理の場合は、不動産会社や管理会社を介さないため、契約条件の確認や借主との調整を所有者自身で行うことになります。
問題が起きてから契約書を確認するのではなく、何も起きていない時期に一度見直しておく方が安心です。
すでに貸している場合に確認したいこと
1.貸主と所有者は現在も一致していますか?
長期間貸している物件では、契約当初から所有者が変わっていることがあります。
特に相続した物件では、
「契約書は亡くなった親の名前のまま」
「相続後、兄弟姉妹の共有になっている」
「家賃を誰が受け取るのかだけ決めて、そのままになっている」
といったケースがあります。
賃貸借契約そのものだけでなく、現在の所有関係や誰が貸主として対応するのかも整理しておきたいところです。
2.現在の使われ方と契約内容は一致していますか?
住宅として貸した物件に事業利用が加わっていたり、店舗の業種が変わっていたり、契約者本人ではない人や別法人が実際に使用していることもあります。
又貸しや名義変更、同居人、法人の変更などについても、契約書と現状が一致しているか確認しておきます。
長く借りてもらっているからこそ、曖昧な状態を放置せず、一度整理しておくことが大切です。
3.契約期間・更新・解約条件は理解できていますか?
「2年契約だから、2年経てば貸主から終了できる」と考えている方もいらっしゃいますが、建物の普通賃貸借は、契約期間が満了しただけで必ず終了するものではありません。
一方、定期建物賃貸借という仕組みもありますが、契約方法や事前説明など所定の要件があります。
これから貸す場合には、「とりあえず一般的な2年契約」とするのではなく、将来の使用予定や売却予定なども考えて契約方法を検討することが重要です。
4.保証人や保証会社は現在も機能していますか?
昔からの契約では、個人の連帯保証人だけが記載され、その後の状況を確認していないことがあります。
保証人が高齢になっていたり、住所が変わっていたりすることもあります。
現在、新たに個人保証を設定したり保証契約を合意更新したりする場合には、極度額など現行法に対応した契約内容になっているかの確認も必要です。
住宅では家賃保証会社を利用するケースも増えていますので、契約更新の機会に保証方法そのものを見直す選択肢もあります。
5.修繕や設備故障の負担は明確ですか?
給湯器、エアコン、水回り、雨漏りなど、建物を長く貸していると修繕が必要になります。
民法では、原則として貸主に賃貸物の使用・収益に必要な修繕義務がありますが、借主の責任によって修繕が必要となった場合などは扱いが異なります。
店舗・事務所などの事業用物件では、設備の所有区分や修繕負担について、契約で細かく定めることもあります。
「壊れたらそのとき話し合えばよい」ではなく、あらかじめ基本的な考え方を決めておくことで、後の認識違いを減らせます。
6.退去時の原状回復はどうなっていますか?
退去時に揉めやすいのが、原状回復と敷金精算です。
住宅については、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表しています。
一方、店舗や事務所などの事業用賃貸借では、住宅と契約実務が異なる部分も多く、内装、造作、設備などについて個別の契約内容が重要になります。
「元に戻して返してください」という一文だけでは、どこまで戻すのか判断できないことがあります。
これから直接貸す場合は「貸す前」が重要です
これから物件を貸す場合は、借主が決まってから契約書を考えるのではなく、募集を始める前に基本条件を整理しておくことをおすすめします。
誰に、どのような目的で、どのくらいの期間貸すのか。
普通賃貸借にするのか、定期建物賃貸借を検討するのか。
修繕や設備の負担、禁止事項、保証、更新、解約、原状回復をどうするのか。
店舗や事務所であれば、どのような業種まで認めるのか、内装工事や看板をどこまで認めるのかも重要です。
一度入居して賃貸借が始まってから、貸主側の都合だけで条件を変更することは簡単ではありません。
だからこそ、最初の契約条件を決める段階が大切です。
※店舗・事務所については、用途地域や建物用途によって希望する使い方ができない場合もあります。当社サイトの「貸店舗・貸事務所の募集前に確認したい『用途地域』と『建物用途』」もあわせてご覧ください。
契約を見直すと、不動産そのものの課題が見えてくることがあります
賃貸借契約についてお話を伺っていると、契約書だけの問題ではないことがあります。
たとえば、
・登記名義が亡くなったご家族のままになっている
・相続後、複数人で所有している
・所有者自身が高齢になり、今後誰が管理するか決まっていない
・建物が古くなり、修繕費が増えてきた
・子どもが不動産を引き継ぐ予定がない
・このまま貸し続けるべきか迷っている
・将来的には売却も考えている
といった事情です。
こうした場合、目の前の契約書だけを作り直して終わりにするのではなく、
「このまま貸し続ける」
「契約や管理方法を見直す」
「将来の相続に備える」
「修繕して保有する」
「売却も選択肢として検討する」
など、不動産の今後を一度整理してみてもよいかもしれません。
もちろん、売却することだけが正解ではありません。
賃貸を続ける方がよい物件もあれば、将来の承継を考えて早めに整理した方がよい物件もあります。
契約の更新や借主の入退去は、所有不動産について改めて考える良いタイミングでもあります。
「誰に相談すればよいか分からない」段階でも構いません
株式会社ビズエステートでは、事業用不動産を中心に、賃貸・売買・契約実務に携わっています。
また、代表は行政書士として契約書の作成や相続初動の整理などにも携わっているため、賃貸借契約だけを切り離すのではなく、その背景にある所有関係や相続、今後の不動産活用についても一緒に状況を整理することができます。
「昔の契約書なので、このままでよいか分からない」
「親から引き継いだ物件をそのまま貸している」
「知人に直接貸そうと思っているが、契約をどうすればよいか分からない」
「今後も貸し続けるか、そろそろ売却するか迷っている」
そのような段階からで構いません。
まず現在の状況とお考えを確認し、何を整理する必要があるのかを一緒に考えます。
契約の確認だけで済む場合もあれば、不動産の募集や売却、相続関係の整理につながる場合もあります。
なお、登記・税務・紛争など、司法書士、税理士、弁護士等による対応が必要な事項については、それぞれ適切な専門家への確認・相談が必要になります。
ご希望される相談者様には、必要な専門家をご紹介することも可能です。
自主管理の不動産について、一度整理してみませんか?
問題なく家賃が入っているときには、賃貸借契約を見直す必要性を感じにくいものです。
しかし、問題が起きていないときだからこそ、落ち着いて契約や今後のことを整理できます。
住宅・店舗・事務所を直接貸している方、これから貸そうとしている方で、
「一度、現在の状態を確認しておきたい」
という所有者様は、お気軽に株式会社ビズエステートへご相談ください。
契約内容だけでなく、その不動産をこれからどうしていくかというところから、一緒に整理いたします。

