「検査済証はありますか?」と、聞かれたときに
~事業用不動産で増えている建物調査について~
最近、店舗や事務所の仲介を行っていると、
「この建物に検査済証はありますか?」
という質問を受ける機会が増えています。
特に、保育施設や介護施設などの開設を検討している事業者様から問い合わせをいただくことが少なくありません。
貸主様の中には、「建物は何十年も問題なく使っているのに、なぜ今さらそんな書類が必要なのだろう?」
と疑問に思われる方もいらっしゃいます。
今回は、検査済証とは何か、なぜ最近になって確認されることが増えているのかについて解説します。
検査済証とは?
検査済証とは、建築確認を受けた建物が完成した後、建築基準法に基づく完了検査に合格したことを証明する書類です。
簡単に言えば、
「確認申請どおりに建築され、完了検査を受けた建物であることを示す書類」
と考えていただければよいでしょう。
なぜ最近確認されることが増えたのか
以前は、事業用不動産の賃貸において検査済証の有無が話題になることはあまりありませんでした。
しかし近年は、建物を利用する方の安全確保や法令適合性の確認が重視されるようになっています。
例えば、
- 保育施設
- 介護施設
- 障害福祉サービス事業所
- 放課後等デイサービス
- 高齢者向け施設
など、小さなお子様や高齢者、障害のある方など、災害時に避難誘導や安全確保に特別な配慮が必要な方が利用する施設では、建物の状況について確認を求められることがあります。
そのため、物件を探している事業者様から、
「検査済証はありますか?」
という問い合わせが増えているのです。
検査済証がないと使えないのか
結論から申し上げると、
検査済証がないからといって、直ちに使用できないというわけではありません。
実際には、
- 貸主様が紛失している
- 昔の建物で保管されていない
- 建築当時の資料が残っていない
というケースも少なくありません。
また、建物の築年数や用途、計画している事業内容によって必要となる確認事項は異なります。
そのため、
「検査済証がない=契約できない」
ではなく、
「状況に応じて追加調査が必要になる場合がある」
というのが実務上の考え方です。
古い建物では珍しい話ではありません
特に築年数の経過した建物では、検査済証が見当たらないケースは珍しくありません。
貸主様自身が建築当時から所有しているとは限らず、売買や相続を経て取得した建物では、資料の所在が分からなくなっていることもあります。
そのため、検査済証の有無だけで建物の良し悪しを判断することはできません。
実務では何を確認しているのか
実際の調査では、検査済証の有無だけを見ているわけではありません。
例えば、
- 建物の用途
- 建築時期
- 増改築の履歴
- 現在の利用状況
- 消防法上の対応状況
- 計画している事業内容
などを総合的に確認します。
同じ「検査済証なし」の建物でも、
問題なく手続きを進められるケースもあれば、追加の調査や行政との事前協議が必要になるケースもあります。
よくある誤解
検査済証がない=違法建築
必ずしもそうではありません。
完了検査は受けていても、資料の紛失や保管状況の問題で見つからないケースもあります。
そのような場合には別の書面で完了検査の日付などを確認し、検査を受けていたことを証明します。
検査済証があれば何でもできる
これも誤解です。
検査済証があっても、用途変更や消防設備の対応など、別途確認が必要になる場合があります。
不動産会社だけで判断できる
賃貸仲介業務では必ずしも必要な書面ではないので、遠方の役所まで行って調査や代替書類を取得することは基本的にやりません。
要不要は出店する業種によるところが大きく、建築・消防・許認可など複数の視点から検討する必要があります。
まとめ
検査済証の有無は、単なる書類確認ではありません。
本当に重要なのは、
「その建物で予定している事業を適法かつ安全に行えるかどうか」
という点です。
特に、保育施設や介護施設など、利用者の安全確保が重視される事業では、早い段階で確認しておくことをおすすめします。
弊社では、事業用不動産の仲介だけでなく、行政書士として許認可業務にも携わっています。
そのため、
「検査済証が見当たらない」
「この建物で事業を始められるか不安」
「貸主から書類がないと言われた」
といったご相談についても、建物の状況や事業内容を踏まえてお話を伺っています。
気になる点がありましたら、お気軽にご相談ください。

※弊社では事業用不動産の仲介だけでなく、許認可業務を行う行政書士として、検査済証の有無や用途変更の可能性を含めた事前調査のご相談にも対応しています。

